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提示された年収を、
そのまま受け取っていませんか。

転職の年収交渉、
何をどう言う?
順番と台本つきで解説

何を調べ、いくらを伝え、
何を確かめるか。
オファーまでの手順をまとめました。

この記事はPRを含みます

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こんな経験、ありませんか?

  • 提示された年収が、相場より高いのか低いのか判断できなかった
  • 希望年収を聞かれて、今の年収に少し足した額を答えた
  • 内定が出たあとに条件を切り出すのは、気まずくてやめた
  • 年収の数字は高かったのに、固定残業代の中身を確かめていなかった

転職の相談を受けていると、入社後に「あのとき聞いておけばよかった」と話す方が少なくありません。面接の受け答えは次の機会に挽回できますが、年収は入社してしまうと、あとから動かしにくい条件です。

この記事では、年収交渉を「性格の強さ」ではなく「順番」の問題として整理します。相場の調べ方から、希望額の決め方、オファー面談での言い方、固定残業代の計算まで、そのまま使える台本をつけました。

転職すれば年収が上がる、とは限らない

厚生労働省の調査では、転職した人のうち前職より賃金が増えたのは40.5%でした。減った人が29.4%、変わらなかった人が28.4%です(令和6年)。

転職後の賃金の変化(前職との比較)
転職入職者の賃金変動。増加40.5%、変わらない28.4%、減少29.4%、その他1.7%。 40.5% 増加
  • 増加40.5%
  • 変わらない28.4%
  • 減少29.4%
  • その他1.7%

出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(転職入職者の賃金変動状況)。3区分の合計は98.3%です。

一方、転職支援サービスを使って転職した人のデータを見ると、数字は変わります。

転職前の区分年収が上がった人の割合上がった人の平均上がり幅
全体64.1%約109万円
IT・通信(業種)72.0%約128万円
技術職(SE・インフラ・Web)74.8%約132万円

出典:大手転職サービスの公開データ(2025年10月〜2026年3月にエージェント経由で転職した利用者。2026年8月公開)。上がり幅は、年収が上がった人のみの平均です。

年代別で割合が最も高いのは25〜29歳(67.9%)、上がり幅の平均が最も大きいのは35〜39歳で約131万円です。45歳以上では46.9%まで下がります。

厚生労働省の調査は転職した人全体、こちらはサービスの利用者が対象なので、並べて比べられる数字ではありません。それでも、エンジニア職で年収が上がった人の割合は全体より高く、上がり幅も大きいことは読み取れます。年収が上がる側に入れるかどうかは、動く前の準備で変わる余地があります。以降の手順は、そのための準備です。

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交渉できる場面は、実は限られている

年収の話は、いつ切り出してもいいわけではありません。選考の段階ごとに、動ける幅が違います。

場面交渉の余地やること
書類〜一次面接小さい聞かれたら希望額を答える。自分から強く出ない
最終面接〜オファー面談大きい提示額と内訳を確認し、条件を相談する
承諾したあとほぼなし覆さない。書面の内容だけ確認する

いちばん動きやすいのは、会社が「この人に来てほしい」と決めたあとのオファー面談です。ここで慌てないために、面接が進んでいる間に準備を済ませておきます。複数の会社から内定が出ているときは、さらに話しやすくなります。

年収交渉の進め方、7つのステップ

  1. STEP 1相場を、3つの方向から確かめる

    相場は1つの情報源だけだと偏ります。次の3つを組み合わせます。

    • 同じ職種・近い経験年数の求人票を10件ほど並べ、年収レンジの下限と上限をメモする
    • 厚生労働省の賃金構造基本統計調査で、職種別の賃金水準を見る
    • 転職エージェントや面接官に「この職種の年収レンジ」を聞く

    求人票の上限は、条件がそろった場合の額です。実際の提示は、レンジの中央より下から始まることもあります。求人票の読み方は「求人票の『年収400万〜650万円』はどう読む?」で詳しく説明しています。

  2. STEP 2自分の「3つの数字」を決める

    面接が始まる前に、次の3つを決めておきます。

    数字意味例(現年収500万円)
    下限これを下回るなら辞退する額520万円
    目標この辺りに着地できれば満足な額580万円
    伝える額面接で口にする額600万円

    伝える額は、STEP 1で調べた相場の範囲内で、根拠を説明できる上限に置きます。目標より少し高めにしておくと、調整が入っても目標に届きやすくなります。下限を決めておくのは、その場の空気に流されて受けてしまうのを防ぐためです。

  3. STEP 3根拠を、3行で用意する

    希望額には理由が必要です。次の3行を用意しておくと、聞かれたときに落ち着いて話せます。

    • 成果:担当した業務と、数字で言える変化(不具合の件数、作業時間、対応した件数など)
    • 範囲:任された役割、チームの人数、関わった期間
    • 相場:調べたレンジの中で、自分の経験がどのあたりに入るか

    数字が出てこない人は、件数・期間・人数のどれか1つから探してみてください。思い出せる範囲で十分です。書き方は「SES経験者のための職務経歴書の書き方」も参考になります。

  4. STEP 4面接で希望年収を聞かれたとき

    NG例

    今の年収が450万円なので、500万円くらいだと嬉しいです。

    OK例(レンジを先に聞く)

    御社の想定されている給与レンジを伺ってもよろしいでしょうか。そのうえで、経験を踏まえてお伝えします。

    NG例

    特にこだわりはありません。お任せします。

    OK例(額と根拠を伝える)

    600万円を希望しています。現職でテスト自動化を担当し、手動確認の時間を半分にした経験を踏まえた金額です。

    現在の年収を聞かれたら、正直に答えます。内定後に源泉徴収票などの提出を求められることがあり、実際と違うと信頼を損ねてしまうからです。そのうえで、「今後の役割と市場の相場を踏まえて、◯◯万円を希望します」と続けます。

  5. STEP 5オファー面談で提示額が出たとき

    提示額を聞いた場面で、その場の返事は求められていません。「持ち帰って検討します」と言ってかまいません。状況別の言い方をまとめます。

    状況言い方の例
    想定どおり評価していただきありがとうございます。条件を確認して、◯日までにお返事します。
    想定より低い評価いただきありがとうございます。◯◯の経験を踏まえて◯◯万円を希望していました。調整の余地はありますでしょうか。
    内訳が不明年収の内訳(基本給・固定残業代・賞与)を教えていただけますでしょうか。
    返事の期限が短い他社の選考結果を確認したいため、◯日まで待っていただくことは可能でしょうか。

    金額の相談は、1回で十分です。同じ条件で何度も押し返すと、印象が悪くなります。伝えるのは、根拠と希望額、そして「この額なら入社したい」という前向きな姿勢です。

  6. STEP 6年収の中身を、項目ごとに確かめる

    年収の総額が同じでも、中身が違えば手取りも働き方も変わります。聞きにくい項目ほど、文面を決めておくと切り出しやすくなります。

    項目聞き方の例
    固定残業代固定残業代は何時間分で、金額はいくらですか。超えた分は別に支給されますか。
    賞与賞与は年間でどれくらい支給されていますか。直近の実績を教えてください。
    昇給昇給はどのような基準で行われ、直近ではどれくらい上がっていますか。
    手当年収に含まれる手当を教えてください。入社後も継続して支給されますか。

    賞与は「予定」ではなく「実績」を聞くのがコツです。見込みの額は、業績で変わることがあります。

  7. STEP 7複数の内定を、同じ物差しで比べる

    内定が複数あるときは、年収の総額だけで選ばないようにします。次の項目を同じ表に書き出して比べます。

    項目見るポイント
    実質の年収固定残業代を除いた年収はいくらか
    賞与の実績予定額でなく、過去の支給実績
    残業の実態月の平均残業時間、繁忙期の状況
    評価の仕組み誰が、何をもとに評価するのか
    任される役割3年後に何ができるようになっているか

    他社の内定は、交渉の材料にもなります。ただし、実際に出ていない内定を出ているように伝えるのは避けてください。事実だけを、落ち着いて伝えるのが基本です。

固定残業代を、自分で計算してみる

年収の確認で、特に見落としやすいのが固定残業代です。固定残業代は、決まった時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う仕組みです。求人票に載せる場合、厚生労働省は次の3点をすべて明示するよう求めています。

これが書かれていない求人は、面接やオファー面談で確かめてください。確かめるときは、次の式が役に立ちます。

固定残業代の目安の式

時間単価 = 基本給 ÷ 月平均所定労働時間
固定残業代の目安 = 時間単価 × 1.25 × 固定残業時間

基本給25万円・月平均所定労働時間160時間の場合(例)

固定残業時間固定残業代の目安
20時間約3.9万円
30時間約5.9万円
45時間約8.8万円

この目安より低い金額で、同じ時間分と書かれている場合は、計算の前提を確かめる価値があります。実際には、基本給以外の手当が算定の基礎に入る場合もあり、会社によって計算が異なります。迷ったときは、労働基準監督署の総合労働相談コーナーなどに確認してください。

もう1つ、年収の見え方が変わる例を示します。次は仮の数字です。

提示された条件(例)

年収600万円。月給42万円(固定残業代9万円・45時間分を含む)×12か月+賞与96万円。

固定残業代を除くと

基本給は33万円。固定残業代を除いた年収は、33万円×12か月+賞与96万円で492万円。

年収600万円と492万円では、見え方が大きく違います。45時間の残業が毎月ある働き方かどうかも、あわせて確かめたい点です。比較するときは、固定残業代を除いた額で並べてください。

やってはいけない交渉

どれも、一度でも起きると信頼を取り戻しにくい行動です。交渉は、相手に「この人と働きたい」と思ってもらったうえで成り立つ話し合いです。強く出ることより、準備した根拠を落ち着いて伝えることのほうが、結果につながります。

決まったら、書面で受け取る

条件が決まったら、承諾の前に、内容が書かれた書面(労働条件通知書やオファーレター)を受け取ります。口頭で聞いた金額と、書面の金額が一致しているかを確認してください。確認する項目は次のとおりです。

違いに気づいたら、承諾する前に質問します。書面の確認は、交渉の最後の仕上げです。

よくある疑問

年収交渉をすると、内定が取り消されることはありますか?
根拠を示した相談そのものが理由で取り消される例は、一般的ではないとされています。ただし、確実とは言えません。根拠のない大幅な要求や、期限を過ぎてからの交渉は、リスクが高くなります。
現在の年収を聞かれたら、どう答えますか?
正直に答えます。内定後に源泉徴収票などの提出を求められることがあるためです。そのうえで、今後の役割と相場を踏まえた希望額を伝えます。
転職エージェントを使うと、交渉は任せられますか?
年収や条件の調整を、担当者が代わりに企業へ伝えてくれる場合があります。自分で言いにくい内容も、相談しやすくなります。進め方は担当者によって違うので、最初に確認しておくと安心です。

まとめ:準備した人から、選べる立場に近づく

年収交渉は、相場を調べ、3つの数字を決め、根拠を用意し、中身を確かめる流れで進みます。強く主張するより、順番を守るほうが結果に響きます。

転職して年収が上がったのは、全体で約4割でした。上がる側に入るには、動く前の準備が効きます。まずは同じ職種の求人票を10件並べてみてください。

自分の相場がつかめないときは、第三者に聞いてみるのも一つの方法です。条件の調整を代わりに行ってくれる担当者もいます。

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